ドラゴン・テイル【外伝】
数としては、二十数匹。
その残骸が、至る所に吹き飛ばされ、散らばっている。
──こんなにいたのか……何かが爆発でもしたのか……?
呆然と立つヴァルザックの耳に、何かが地を踏み歩く足音が届いた。
「……ヴァル……」
足音の主、ウルの声。
『ウルッ! 無事だったか?! 良か…』
ヴァルザックはパッと声のした方を振り返り、言い掛けた言葉を呑み込んだ。
ウルの身体にまとわりつくように揺れる黒い炎。
『ウル……お前がやったのか…これ……』
驚いたように目を見開くヴァルザックにぎこちなく頷くウル。
「俺……フェニーバード見たら…一瞬、頭が真っ白になって…。
気が…気が付いたら…こんな…」
ウル自身も動転しているのか、喋る度に黒い炎が不安定に揺れ、吹き出しそうになる。
『落ち着け、ウル。もうフェニーバードはいない。
深呼吸して、力を抜くんだ』
なだめるように、ヴァルザックが静かな口調で言う。
ウルもその言葉に従うように、深く、ゆっくりと息を吸い込んで、吐く。
平静を取り戻していくと同時に、ウルの身体に取り巻いていた炎が消えていった。
ほぅ……と小さく安堵の息を漏らし、ゆっくりとウルに歩み寄りながら、ヴァルザックはラウラの亡骸を探した。
辺りにあったはずの茂みは跡形もない。
激しい爆風に、一瞬で焼き尽くされたのだろう。
ラウラも、恐らく原型は留めていない。
ヴァルザックはそう予想していた。
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