ドラゴン・テイル【外伝】

 ウルの様子がおかしい。

 何となくだが、そう感じた。
 どこがおかしい、と言う具体的なところは分からないが、何か変だ。

『ウル』

「何だ?」

『腹減ったか?』

「まだ」

『休憩するか?』

「ヴァルが疲れてるなら」

『ドラゴンって人間喰うんだぜ』

「そうか」

 …………やっぱり変だ。

 声は聞いていても、言葉は理解していないような…。

 ─何なんだよ、急に。
 俺、何か変なこと言ったっけ……?

 もしかしたら、ウルは俺が思ってる以上に早く記憶を取り戻したくて、「無理に思い出さなくても」って言った言葉に怒ってるのか?

 だが、ヴァルザックはすぐに首を振る。

 ─いやいや、ウルは怒ったら怒ったって言いそうだしな……。そもそも、怒ってるようには見えねぇし。

 そうこう考えている内に陽が傾き始め、空が赤く染まり始めた。

 陽が落ちるのは早い。

 高度を落とし、今晩の寝床になりそうな場所を探す。

 地上には先端が平野のように平らになっている山が点在している。

 ヴァルザックは、そのうちの一つを目指してゆっくりと降り立った。

『ちょっと待ってろよ。
 飯の材料探してくるから。すぐ戻る』

 ウルを降ろして、再び空へと飛び立つ。

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