ドラゴン・テイル【外伝】
『どうしても守りたいものの為、同胞に牙を向けることは出来るか?
その命を奪うことが、出来るか……?』
突然の重い質問に、驚いた表情を見せるラーマ。
その表情を見て、ヴァルザックはハッと我に返った。
どう考えても、会って二回目の相手にするような質問ではない。
『悪い……いや何でもないんだ。
すまない、忘れてくれ』
慌てて言い直すが、ラーマは変わらず静かな口調で言った。
『ここに来る途中、レッドドラゴンの亡骸を見つけた』
ラーマの言葉で、ヴァルザックの表情に明らかな動揺の色が浮かぶ。
その表情の変化に気付いたラーマは、小さく息を吐いた。
『……お前だったんだな……』
『………』
呟くラーマに答えることが出来ず、沈黙するヴァルザック。
そんなヴァルザックにラーマが言った。
『我々ドラゴンの生きる世界は、人間やエルフ達のそれとは違う。どちらかと言えば本能で生きるモンスター達と同じ……』
突然話し出すラーマに、僅かに顔を上げるヴァルザック。
『分かるか?
本能の世界は、常に弱肉強食。ちょっとしたことが命のやり取りに繋がる』
『………?』
ヴァルザックは、ラーマの言おうとしていることがいまいち良く分からず、怪訝な表情を作った。
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