ドラゴン・テイル【外伝】
ヴァルザックの表情に、ラーマが目を細めながら再び口を開く。
『お前が何を守ろうとしたのかは知らんがな。我の知る限り、水属性のドラゴンが自ら好んで戦いを挑むとは思えぬ。
挑んできたものを返り討ちにした……それだけだろう? 誰もお前を責めぬ。その時の状況など、いくら口で説明したとて、本当のところなどお前以外の誰が分かる?
お前が是と言うならば、それは是と成るのだ。違うか?』
ラーマの言葉は、不思議とヴァルザックの心に染み込んできた。
ラーマとしては、別に慰めのつもりでも何でもない言葉だったが、ヴァルザックにとっては深い重みを残すもの。
静かに瞑目するヴァルザック。
その心は先ほどと違い、霧が晴れたように澄んでいる気がした。
スッと、まるで猫がするそれのように、ラーマがヴァルザックの首もとに頭を擦り寄せる。
──気に病むことはない──
そう呟くように。
ヴァルザックはゆっくりと瞳を開くと、ラーマを正面に見つめて言った。
『ラーマ、お前に謝らなきゃならないことがあるんだ』
突然話を切り替えてきたヴァルザックにキョトンとした顔を向けるラーマ。
『謝る? 何だ、突然』
『実は、お前の探してる人間、ウルと言う男のことだが……。俺、さっきまで一緒にいたんだ』
一瞬の沈黙後、ラーマが驚いて発した声が大空に響き渡った。
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