野球彼女



「ごめん。別れよう」


山崎の口から告げられた言葉。


ちょうど、体育祭も終わり、合唱コンクールが始まる10月くらいのこと。


「う・・・うん。」


素直にうんと答えやた。

だけど

瞳から大粒の涙があふれてた。

なんでだろうね?

甘えるだけに付き合ってたのに…

本気になって私ばかじゃん。

「じゃ…じゃあな。」


これで会えなくなる?

彼氏と彼女として会えなくなるんだよね?

その前に伝えたいことがたくさんあるんだ。

伝えたい。

今だから…

伝えなきゃダメなんだ。


「待って!」

「?」

「ごめん。私ばかだったんだ。甘えるだけに山崎と付き合って、
  
   今別れようって言われてからさ…山崎の大切さがわかって馬鹿だよ」

「・・・・知ってたよ?」

「…ごめんっな・・・さい。」

涙で言葉にならない。

「なんかあって俺と付き合ってんだろーなぁとかさ…。」

「そっか…。」

そんな悲しい顔されて言われても何も言えないよ。

「好きなんだろ?アイツのこと。」

「へ?」

「へ?じゃねーよ」

「…うん。」

「俺と付き合ってたことをバネにして頑張ってみろよ?

   今俺のことが気になるのはキマグレだから…」


「ありがとっ…。」

「ありがとなんか言うなよ?俺だって…。」

「おれだって?」

「なんにもねぇーよ。ばーか。」

「優しすぎるよっバカはそっち。」

私はすこし泣きやめた。

「また…な?」

「うん。」

私は少し心からあなたを愛せた気がします。

このころの私はバカだったよね。
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