野球彼女


1年前の合唱コンクールは無事終わったけれど、

見事に敗北だった。

そしてみごとに今年も敗北だった。

季節は冬。

ブレザーを羽織っていても、肌寒い。

もう12月か…。


私たちももう、卒業かー・・。



山崎とは学校はなれちゃうのかなー…。

そんなこと思うと悲しいしさみしいなぁ…。



「志望校は?」

先生に聞かれる。

「○○学校です。」

「山崎と一緒なのか。」

「そ…そうです。」


少しためらった。


「将来の夢とかあるのか?」

「今のところないです。」

なんて言ってるけど、

本当はあるんだ。

山崎に甲子園に連れって行ってもらう大きな夢。


山崎の怪我は少しづつ癒えてきて、

また山崎はエースに戻った。

だけど、もう中学3年の冬。

もう部活なんてとっくの昔に引退した。

少しさみしい学校生活もあと少しになってきた。


卒業式の練習が始まると、

卒業という実感がわいてきて、

この教室、校舎、校門、体育館、グランド。

何もかもに愛おしさを感じた。

だけど、また山崎とは違う愛おしさ…なんだよね。なんちゃって笑


卒業式はあと一週間。

この教室でこの学校であったことは

私たちが卒業しても、

私の中で、先生たちの中で、思い出になるといいななんて思ったりして。


< 34 / 43 >

この作品をシェア

pagetop