Last Love
もしかして、

自分が雷が苦手なのが

バレていたのか、と

考えると、

愛はたまらなく

恥ずかしかった。

「雨、激しいですね。

 この辺、あんまり

 雨降らないのに。」

「そうですよね…。」

相合い傘、というのは

こんなに緊張するものか、と

愛は思った。

こんなこと、女友達としか

したことないし、

善彦とは一緒に並んで

散歩した記憶さえない。

本当に、自分は

何をしているんだろう、と

愛は情けなくなった。

―――ゴロゴロ…ドォンッ…

「きゃっ!!」

「うおっ、」

愛は咄嗟に彼の腕に

しがみついた。

「ご、ごめんなさい…。」

「大丈夫。

 落ちてこないから。」

彼はこのとき

私を落ちつかせるため、

あえて敬語を

使わなかったんだと

理解するのに、

そう時間はかからなかった。
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