Last Love
「お願いだから

 このコどうにか

 してくんねぇか?」

愛はまともに

歩くことさえできないくらい

酔っていた。

「…わかりました。」

櫻井の方も、

こんな夜遅くに

酔っ払いの愛を放り出すことは

色んな意味で危険だと考え、

仕方なく了承した。

「永島さん、行きましょ。」

「んふふ、愛でいいよ~っ。」

「愛…さん。立てます?」

聞くだけ無駄か。

もう足に力が入らないようだった。

「じゃぁ背中に乗って。」

「はぁ~い♪」

思ったより、

愛の体は軽かった。

長身で、わりと

ガタイがいい櫻井にとって、

愛はなおさら

小さく思えた。

「……ん?」

愛を背負って歩いていると、

急に重みが増した気がして

彼は後ろを確認した。

「寝てるし…。」

けれど、そんな彼女の姿を

見て、

さほど不快にはならなかった。

その理由は、

櫻井自身にもよく

わからなかった。
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