Last Love
―――翌日

「おはようございます。」

愛が会社に出勤すると、

なぜかそこには

善彦の姿があった。

「あぁ、永島さん。

 おはよう。」

お互い、仕事には

私情を持ちこまぬよう、

苗字で呼ぶことにしている。

「今日は、

 どうされたんです?」

いくら愛の婚約者とはいえ、

善彦はこの会社の

副社長だ。

副社長が直々に

訪れるなど、

多くあることではない。

「いや、実はね、

 今度大事なプロジェクトを

 辻本部長に任せようと

 思っているんです。

 それで、少しお話しを、

 と思いまして。」

「そうなんですか。

 ご苦労様です。」

周りの視線が

うっとうしくて、

愛は手早く会話を

終らせて、

自分のデスクに向かった。

善彦に会えたのは

嬉しいことだが、

それと同時に

周囲からの視線を感じる。

それがあまり

いい意味の注目では

ないような気がして、

愛は嫌だった。
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