つらら飴
 二日連続服着て睡眠。
 炬燵の電気そのまま熟睡。
 嫌な寝汗が背筋に溜まる。
 幾ら猫でも起きるでしょう。
 不精な私は寝返り打つだけ。
 私はそのまま丸くなる。
 赤外線が私を包む。
 乾いた白目に瞼が重い。
 涙腺閉鎖冬季期間。
 泣き雪小雪笑って捨てよ。
 
 日曜朝九時電話鳴る。
 憂鬱面倒相手見る。
 名前確認ふと思う。
 買い物約束忘れてた。

「はい、」
「あ、美香?今日、何時にする?」
「・・・・」
「・・・ん?どーしたの?」
「振られた」
「振られたって・・・井上君と?」
「うん・・・」
「そっか・・・大丈夫?」
「まー二晩泣いたら少しはね・・・・」
「やけ酒は済んだ?」
「うん・・・おいしくて一本飲んじゃった」
「それじゃ今日は、やけ買い物とやけ食いに付き合おうか?」
「・・・・・・・・・・そーね、じゃ・・・願いしようかな・・・」
「じゃ、お昼に」
「ん・・・」

 そんな気持ちじゃなかったけれど。
 少しは気晴らしになればいい。
 昼食おごって貰おうか。
 今日もお日様空元気。
 そんな無理しなくていい物を。

 取り敢えずお風呂に入ろうか。
 洗面台で顔を見る。
 たった二日で窶れた物ね。
 出掛けるとは言った物の。
 眼の隈私を追い詰める。
 不揃いの髪も忘れてた。
 化粧濃くして帽子被って。
 色眼鏡でもして出掛けるか。
 冷たい水で顔洗う。
 頬を叩いて引き締める。
 瞼の裏に何見える。
 あなたがいなけりゃいいけれど。
 まだ閉じこめたままなら解放しよう。
 私の檻から逃げさせよ。

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