つらら飴
「おはよ」
「うん、おはよ、調子は?」
「最悪」
「その格好見たらそんな感じね」
「わかる?」
「そりゃね。昨日は何してたの?一日中泣き崩れてた?」
「いや・・・・雪達磨作って、つらら舐めてた」
「・・・・何か、大変だったみたいね・・・でも雪達磨はまだしも、つらら舐めるのは汚いから止めた方がいいかも。子供じゃあないんだから」
「でも、子供の頃なめなかった?」
「そりゃ、したけどね・・・だけど、大人はしちゃだめよ」
「そーかな?」
「そ。だって大人にはシャーベットがあるんだもの。わざわざ、つららを舐めなくてもいいでしょ?」
「アイスもチョコもあるしね」
「ブランデーかかってるやつをね」
「冬だけど食べに行く?」
「賛成」

 多少は晴れ間が刺す気配。
 御菓子の力は絶大ね。
 冬道歩く私の心。
 信号点滅小走りブーツ。
 転ばなければ良い事起きれ。
 人ごみ交差横断歩道。
 子供の手を取る母親通る。
 すれ違いに子供の手見る。
 雪玉丸めて持ち歩く。
 そうだ。
私も雪玉作ろう。
 固く握って光沢乗せて。
 泥入り石入り攻撃的に。
 厳選二つの玉持って。
 彼女共々ぶつけてやるわ。
 その日までは楽しくしてたら?
 私はじっくり機会を待つから。

 今はまだ冬、冷える風。
 揺れる睫毛と戯れる。
 胸に残した雪達磨。
 あなたを想う雪達磨。
 早く融かしてくれますように。
 早く春風舞ってこい。
 吹けばいつでも四月風。
 季節無視して春が来る。

 でもそれまでは。
 つららを舐めて待機する。
 雪玉握って待機する。
 雪達磨も作っておこうか。
 雪玉ぶつける練習台としてね。
 何体作れば春が来る?
 達磨増えれば胸冷える。
 でも。
 凍える冬には慣れるかもね。

「パフェも食べる?」
「勿論。花火のついたやつね」
< 13 / 13 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

おひめさま

総文字数/3,087

恋愛(その他)4ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop