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小川沙紀は一旦区切り、続けた。
「前提条件を全て観察し、世界の今後を予測して、自分が、予測とは違う行動をとれば世界は予測とは違う結果となる。
これは矛盾だよね。
では予測した世界は一体どういう世界だったんだっていう。
違う世界になるためには前提条件が異なっていなければならない。
しかし、予測された世界と結果とでは前提条件が同じだ。
そもそも、予測のうちに、自分が予測したものとは違う行動をとる、ということも含まれていなければならない。
ここまで来ると意味分からないよね。」
あぁ、何か、混乱してきた。
よく語るな…。
小川沙紀も先生の同類だったとは。
「簡単に言おうかな。
タイムマシンを想像してみて。
タイムマシンで未来を観測してきたとする。
そして帰って来てから、観測とは違う行動をとり、未来を変えた。
では観測した世界とはなんだったのだ、という話になる。
違う未来になるには前提条件が異なっていなければならない。
つまり、観測した世界は違う世界での未来になる。」
少し分かった様な気もする。
「まあ、タイムマシンの話は置いといて、」
僕が分かった話は置いとかれた。
「世界を予測するということに関してだけど、さっきの矛盾から考えられることとしては、意思はこの世の仕組みとは別の仕組みで動いているかもってこと。
意思がないとこの矛盾は生まれないわけだから、この矛盾を解決することが出来たら、感情の秘密が解明されるかも知れないよね。」
「は、はぁ…」
あ、ああ、が少し変わった。
「ごめんね。
こんな話しちゃって…。」
「いや、まあ、いいが。」
聞き疲れた。
この世界の人は語るのが好きなのだろうか。