コピー

ツインテールの可愛い小柄な少女を眺める。

この容姿でこんなことを語るとは…

「話を元に戻すけど、あなたがコピーだと知ってるのは誰がいるの?」

そう言えば、校長のことを話してない。

「山口先生、校長、小川さん、あと、製作者である近藤拓郎くらいかな。
校長についてもうちょっと詳しく話すと、校長には『近藤拓郎』から、メールが届いていた。
近藤拓郎が僕、コピーを作ったって言う。
で、『近藤拓郎』に成り済ますのを手伝ってもらうことになった。」

ふ~ん、と小川沙紀は呟き、会話が一旦終わった。

暫くして、

「あ~あ、拓郎くん、どうしていなくなっちゃったのかな~」

と漏らした。

やはり僕は彼の代わりにはなれないのだな、と僕が浮かない表情をすると、小川沙紀はそれに気付いたようで、

「わわわ、
ご、ごめんね!」

「謝る必要なんてないよ。」

「で、でも、傷つけちゃったみたいだし。」

「大丈夫。
傷ついてないから。」

僕がそう言い放つと、会話は途切れた。

会話をやめ、ぼうっとしていると、自分が空腹だということに気付いた。

部屋に来たとき食事を作る道具だろうと予測した機械に近寄り、

「これは、どうやって使うの?」

機械を指差す。

小川沙紀はベッドから立ち上がって、僕がいるところまで、移動した。

「何がいい?」

「何でもいいよ。
適当に選んで、好き嫌いとかないし。」

小川沙紀は画面を見つめて、考えて

「今日は私もここで食べてもいいかな。」

え?

「お腹減ってるし、男子寮と女子寮は結構離れてるから、帰るまで保たないかもなぁ。」

まあ、困ることもないしな。

「ああ、分かった。」

「じゃあ、一緒のメニューにするね。
オススメがあるんだ。」

パネルまで指を伸ばし、

「殆ど、機械が指示をだしてくれるんだけど、」

小川沙紀は機械に付いているパネルを操作した。

小さな手が可愛らしく動く。


< 35 / 39 >

この作品をシェア

pagetop