コピー
幾つか画面が切り替わった後、
「ここに指を置いて」
パネルを指差して言う。
指紋認識のようだ。
言われた通り、指を置く、
「わあ、すごいね。
指紋までちゃんとコピーできてる。」
僕たちの食事か機械の下から吐き出された。
ちょうど自動販売機のみたいだ。
指の動きばかりに気を取られ、パネルまで見ておらず、パネルの操作方法は覚えられなかったが、機械が指示を出してくれるそうなので、まあ、いいだろう。
僕たちは機械の中から料理を取り出し、机へと運んだ。
何と言う料理かは分からないが、とりあえず麺類のようである。
さて、と食べようとしたところで気がついた。
そう言えば椅子は一つしかなかったのだ。
机をベッドの付近まで動かし、自分はベッドに腰掛けて、小川沙紀に椅子に座るよう促した。
料理は、小川沙紀の舌に狂いはなかったようで、とても美味しかった。
二人が食べ終わったところで、小川沙紀は言った。
「外はもう、暗くなってるだろうな~」
まあ、そうだろう、来たときから結構な時間が経った。
「そんな暗い中を年頃の女の子が一人で帰っても大丈夫なのかな~。」
企み顔でおっしゃる。
「襲われても、科学技術で簡単に犯人を特定出来るんじゃないのか?」
「でもさ、それは襲われた後じゃん。」
捕まると分かっていても、衝動的に、という感じか。
「女子寮まで送れ、と?」
首を横に振って、
「ううん。
それだとあなたまで巻き込まれるかも知れないよ。」
楽しそうに言う。
「つまり…」
「泊めてよ!」
ナイナイ、それはナイ。
襲われないための防衛策なのに、僕が襲ってしまいそうだ。