加納欄のホワイトデー シリーズ9
その日の、あたしの仕事は、さほど大変なこともなく、夕方になり、あたしと祥子先輩は、仕事をあげることができた。

「先に行ってようか。ちょっとショッピングもしない?」

高遠先輩と、大山先輩は、もう少し時間がかかるということで、あたし達は、久しぶりにショッピングをしてから、祥子先輩が行きたがっている店に行くことにした。

祥子先輩は、両手に抱えられないほどの洋服を買い、あたしにも持たせた。

「ま、まだ買うんですかぁ」

「そぉねぇ。あと、洋服とバックくらいかなぁ」

「よ、洋服って……。何着買う気なんですかぁ。もう、持てないですよぉ」

「なに言ってんのよ。まだ全然足りないわよ」


ツ、ツカレタァ。


こ、こうなったら……。


「し、祥子先輩、お腹空きましたぁ。そろそろ行きません?」

「え?もうそんな時間?」

と、言って、祥子先輩は、腕時計に目をやった。

「あら、ヤダ!2時間たってる」

「え!?」

連れ回され過ぎて、時間がわからなくなっていた。

あたし達は、慌てて祥子先輩が、行こうといったお店に向かった。

お店の名前は”ミラージュ”と書いてあった。

薄暗い店内は、雰囲気良く、開店記念も手伝ってこんでいた。

「うわっ!こんでるわね」

「す、すごいですね。私、先に化粧室行ってきますね」

「Ok。奥の席にいるわ」

「はい」

祥子先輩は、自分の荷物を全て持ち、迷わず奥へ進んで行った。


何回か、もう来てるな。


あたしは、そう思いながら祥子先輩の背中を見送ると、化粧室に入った。

化粧室から出てきた時に、大山先輩とぶつかった。

「すみません。遅れて」

「遅ぇよ。先に飲んでたぞ」

「すみません。ちょっと、買い物が長引いて……」

「あの量は買いすぎだろ」

「見たんですか?」

「さっき、チラッとな。こっちに来るときに」

「ハハ」

あたしと、大山先輩が、奥の席という所へ歩いて行った。


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