加納欄のホワイトデー シリーズ9
あたしは、フラフラしながら、車に乗ろうとした。

「お姉さん1人?」

突然、大学生っぽい男の子が、声を掛けてきた。

人数は2人。

「なにか……よう?」


こんな時に、何のよう?


「立ってるの、辛そうだね。切れそうなの?安くするけど?」


え(-.-)??


キレソウ?


安く?


クスリ?!


いたっ!


「そう、見える?」

「まぁね、そこまでフラフラしてたらね。薬、あげてもいいよ」

「……ホント?」

「あぁ、ただじゃないけどね」

「いくら?」

「2万」

「……今は、そんなに持ってないわ。さっき使っちゃったから」

「あっそ、じゃ、仕方ないね」

男達が、歩いて行こうとした。


引き止めなきゃっ!


「待ってよ!立ってるのも、やっとなのよ。ちょうだいよ」

男2人が、顔を見合わせて、戻って来た。

あたしは、あまりのダルさに肩で息をはじめた。

「辛そうだね」

薬が切れてると勝手に勘違いして、男が同情する。

「よく見たら、可愛いじゃん。今回サービスでただでもいいよ」

「……ホントに?」

「お金はね。俺達を楽しませてよ」

「楽しませる?」

「あんたの体で代金チャラにしてやるよ」

男が、ニヤニヤしながら、笑った。

「何言ってるの」

「お前を犯すって言ってんだよっ!」

そう言って、男達はあたしに、襲いかかって来た。

あたしは、傘を閉じて、1人の男の腹に、叩きこんだ。

もう1人の男が、すかさずあたしにタックルしてきた。

あたしは、そのまま地面に、倒された。

洋服が、雨のせいで濡れていく。

「おいっ!早くしろよ!早くやっちまえよ!」

あたしを押さえてる男が、あたしにやられた男に向かって怒鳴った。

男は、あたしのところへ来ると、思いっきりあたしを殴った。

「てめぇよくもやったなぁ!」

殴られるたびに、意識が遠のきそうだった。

腕にもあまり力が入らなかった。

口の中で血の味がした。

今まで殴っていた男が、ブラウスに手をやり、ボタンを外していった。


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