加納欄のホワイトデー シリーズ9
「まだ寝ているほうが、いいんじゃないですか?」

「いいえ。ここにいても具合が悪くなるだけですから」

そういうと、あたしはフラフラしながら、ドアに向かって歩き出した。

どこかのホテルかと思っていたら、作りがラブホテルだとわかり、余計居るのが嫌になった。

「お礼は、ないんですか?」

孔明師範が、話しかけてきた。

「そんなのが、ほしいんですか?あるわけないじゃないですか」

あたしは、靴をはいた。

「危ないところを助けてあげたのに?あんな雨の中、置き去りにしないで助けたのに?」

「置き去りにすればよかったじゃないですか」

「あんな道端で犯されそうになってたのに?」


モォォォ!


「わざわざ助けていただかなくてよかったのに、助けていただいて、ありがとうございました!2度と、助けていただかなくてけっこうです!以上、お礼終わり!」

あたしは、靴を履いたまま、孔明師範のところへ戻り、暴言をはいた。

くるりと向きを変え、部屋を出て行こうとした。

「あまいですよ」

そういうと、孔明師範は、あたしの手をとり、自分に引き寄せ、床に押し倒した。

「何するんですかっ!」

「お礼を、いただきます」

「さっき、何にもしないって、言ったじゃないですか!」

「やめました。中国へ戻るか、お礼をするか、欄が、選んでください。お礼は、簡単ですよ。抵抗しないで、良い子に寝てればいいだけですよ。昔みたいにね、どちらがいいですか?」

口元は、笑っているけど、瞳は、笑っていなかった。

「……どっちも、イヤ、!孔明師範、どいて下さい!」

あたしの、心臓が、ドキドキし始めた。

このまま、いるのはよくない!

頭の中で、警戒ランプが鳴っていた。

「今の欄を中国へ連れて行くのも、いいですね」

「イヤ!」

あたしは、頭を降った。

「じゃあ、助けたお礼を、もらいましょうか」

そう言って、孔明師範の顔が、近づいてきた。

「イヤッ!やめてくださいっ!触らないでっ!イヤァ!!」

ありったけの力を出して、孔明師範に抵抗した。

「あまり暴れると、熱が上がりますよ。お礼をいただくだけです。大人しくしていなさい」


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