続きは、社長室で。
彼との、始まり。
そうして、社長の運転で会社へと向かう――
彼の愛車は、真っ赤なフェラーリ。
と言っても、愛用車のひとつに過ぎず。
ガレージには、何台もの高級車が出番を待っている。
車に拘る彼は勿論運転にも煩く、専属運転手を断って自ら運転しているのだ。
その彼が運転する車に、同乗させて貰える理由なんて。
私がお隣さんであり、社長秘書だから――
きっと・・・、ううん、それだけのコト・・・・
独特のエンジン音を響かせつつ、軽快に走行していく車。
いつものように別段、会話のナイ静かな時間――
視線だけをチラリと動かすと、社長を見つめてしまう。
シャープな顎のラインと薄めの唇は、色っぽさを醸し出している。
鋭い眼光で正面を見ている、ブラウンの瞳も・・・
このハンドル捌きを見たら、大抵の女性はイチコロだろう。
・・・それでなくとも、格好良いのだから――