続きは、社長室で。


今日の社長は、千葉に本社を置く企業へ向かう予定で。


その他でも、細々と予定をこなすハズだった。



「…はい、この度は大変申し訳ございませんでした。

それでは、失礼致します・・・」


ピッ――

通話終了ボタンを押して、電話を終えた。



突然のキャンセルにも、承諾してくれたけれど。


アフターケアは必ずしなければと、反省した。


形だけの秘書であっても、やはり後味が悪い。



貴方の体裁を、悪くしてしまいそうで――





「…社長、すべて終えましたが――」


デスクで書類に目を通す社長に、声を掛けた私は。


あとに続く言葉を見つけられず、次を促してしまった。




「蘭…、分かっているだろう――?」


「っ・・・」



社長室に留められていた理由を、理解しながらも・・・




ギシッ――

革張りの椅子から、社長が立ち上がった。



ストライプネクタイに手を掛けて、シュッと緩めていく。




社長のその所作は、密事へ誘うシルシだと・・・





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