続きは、社長室で。


だけれど今日は…、今日だけは・・・


それらが勝って、感情なんて抑えられなかった。



キモチにも、身体にも素直でありたいと・・・


視線の先で震える右手を、拳をギュッと作って宥めていた。



クイッ――

顎を軽く引き上げられて、ブラウンの瞳と絡み合う。


本能の赴くままに行動をして、些か不安を感じていたのに。




「蘭…、あれで終わり――?」


「ッ・・・」


妖艶に微笑む彼が、すぐに払拭してくれた。



コマでしかない私の行動を、咎めないの?



迫るキョリと、鼻腔を掠める香りの強さにクラクラする。


ボタンを外した先にみえる首筋を眼にしただけで、鼓動は鳴り止まない。



自分からキスをしただけで、もの凄く必死だったのに。


ジッと捉えられるだけで、どれほど身体が熱を帯びてしまうか。


貴方に“蘭”と呼ばれるだけで、どれだけ心を引き寄せられるか。



拓海は何も…、分かってイナイ・・・




「蘭…、愛してる――」


「っ…、ンンッ・・・」


言葉とともに降り注ぐ、先ほどのキスの続き・・・



すべてがその場限りでも、私を幸福と快楽に導いていく――





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