続きは、社長室で。


拓海の心音に合わせて、ホワイトムスクの香りが宙を舞う。


この香りも、広くて厚い胸も、ソレらに触れてはダメだ。


私がこうして、抱き締められるコトさえ・・・



「ダメ…だよ・・・」

縋りつきたい眼前の胸を、グイグイと両手で押した。


「蘭・・・

我慢するなと言ってるだろ?」

宥めるような声色が、心を攻撃してくるのに。


対して私の押す力では、微動打にもされない。


これで貴方を守るなんて、よく言えたモノだね?



「ッ…、して・・ないっ・・・

ど・・してっ…、離して・・くれないの・・?」

頭を振って、貰えるワケもない答えを探ってしまう。



「もぉ…、やだ・・・」

もう頭の中がグチャグチャで、目の前は真っ暗。


目の前の厚い胸を押す力も出ず、その手はベッドへと沈んだ。



如何に自分が、無力で、我が儘で、最低なのか。


貴方にソレらすべてが、剥がされていく・・・



泣き続けながらも、まだ視線を逸らせないなんて。


何処まで私は、拓海を追い求めているの・・・?




「俺の気持ちは、オマエにしかない。

そう言えば、離れていかないか?」



え・・・・?





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