続きは、社長室で。
“やっぱり”という接続詞は当てはまらない。
どうしても、何をしようとも、ムリなんだ。
拓海以外の誰かの傍で、生きるコトなんて――
「どうしても、出来ません。
申し訳ございません…」
頭を上げる事など出来ず、瞳をギュッと固く瞑った。
最低女だとか、どう思われても良いから・・・
「ハァ・・・まったく。
言葉の重さを知っていて、そう言うのか?」
「っ・・・」
場を凍りつかせるほどの声色が、スイート全体に響いた。
なおさら怖くて、顔を上げられない私。
「大体、東条君には婚約者がいるというのに…。
蘭はまだ、彼の許へ戻ろうとしているのか?」
出来るコトなら、拓海とアノ頃へ戻りたい・・・
出来るコトなら、愛していると言いたい・・・
儚い願いばかりが浮かんで、シャボン玉のようにパッと消えていく。
「否定をしないなら、肯定と受け取るぞ。
まぁ…、その方が俺にとっては好都合だけど?」
ハハッと高らかな笑いを木霊している後藤社長。
端麗な顔に見え隠れする“裏面”が、恐怖を掻き立てた。