続きは、社長室で。
きっちりと、カールさせた睫毛。
表面の凸凹をカバーさせたお肌。
顔色アップの、チークとリップ。
ヘアはサイドを残して、フルアップ。
どんなに焦っていようとも、身支度だけは気を抜けない。
これが私の、定めだから・・・
私が唯一、必要とされる部分だから・・・
「蘭、もうすぐ時間よ?」
時間をチラチラと、気にする母。
「もぉ、大丈夫だって!」
私は窘めつつも、牛乳を一気に飲み干した。
それから、バックを掴んで玄関に向かう。
「気をつけてねぇ。」
「ハイハイ…、行って来ます!」
バタンッ――
勢い良く、玄関のドアを閉めた。