続きは、社長室で。
トントンと階段を降りていく度に、心音が早まる気がしてならない。
だけれど、こうして忙しない心臓の動きの理由は分かっている。
アノ日の言葉の意味を理解する、運命の日だから――
行き着く先の答えが、この3日間すべて同じという情けなさ。
ふと考えてしまうのは、アノ夜のコトだけ・・・
あれから後藤社長にはすぐ、3日間会えないと連絡をした。
「あと3日だけ・・・
どうしても社長秘書が必要だそうで・・・
お返事は、それまでお待ち頂けませんか――?」
不自然にならない程度で、少し諦めモードを漂わせつつ。
あくまで丁重でありながら、ハッキリと意思主張した。
「まぁ…、それ位の日程なら諦めるかな?
但し、東条君に指一本も触れさせるなよ――」
「ッ…、解っております・・・」
意外にも、すんなりと受け入れた彼に驚嘆しつつも。
ギブアンドテイクのように、秘密の部屋の件を匂わせるとは。
やっぱり彼は策士だと、そんな考えに辿り着いてしまう。