続きは、社長室で。


乾いた笑いが涙腺を刺激し、段々と潤みそうになる瞳。




散々、母の言葉に勝手に傷ついて、迷惑を掛けていたからこそ。


運命とも言える日には、笑顔で出社しようとしたのに。




本当に私は大事な所で、いつも弱いね・・・






「今日は何かあるんでしょ…?」



「え・・・」


宥めるような声で、いつも以上に優しい口調の母に驚く。




「あら、毎日見てれば気づくわよ!

今までで一番、辛そうな表情になってるもの。」


「ッ・・・」


明るい素振りながらも心配そうな母の表情で、やっと気づいたの。




今まで玄関先まで送り届けてくれた、その理由に・・・





「蘭の立場では、色々と大変だと思う…。

それでもお母さんは、貴方らしくいて欲しい――」



「っ、うん・・・」


グッと込み上げてきたけれど、ソレを必死で堪えた私。




あまりにシンプルで深い言葉が、すごく温かくて。



苦しくても、頑張れそうな気がしたの・・・





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