続きは、社長室で。
真偽の、始まり。
これから、何が始まるというの――?
「では、手始めに・・・
貴方がたの不正を暴かせて頂きます――」
突然に切り替わった声色は、あまりに冷酷なモノだった。
え…、不正――?
「…どういう意味だ?」
「フッ…、シラを切るおつもりですか?
僭越ながら、何の用意もないまま敵陣へ乗り込むほど…。
私の思考は、単細胞に出来ておりません…」
「だから…、何が言いたい?」
続きを急かすように、声を少し上げた後藤社長。
「それでは、ハッキリと申し上げます。
我が社の新製品情報を、御社の取引先にリークするおつもりでしたね?
産業スパイまで送り込んで、内部情報を得ようとは・・・
蘭の一件があるまで、気づきませんでしたが――」
産業スパイ・・・?
「ハハッ…、そんな作り話をしに来たのか。
馬鹿馬鹿しい…、何を根拠に言っているんだ?
その侮辱発言…、名誉棄損で訴えるぞ――」
「ッ・・・」
今までの瞳の色なんて、とても生易しいモノだと感じる表情。
これが表皮の取れた、真の後藤社長の姿に思えてしまう。