続きは、社長室で。
たとえキモチは伝わらなくても、仕方がナイけれど・・・
秘書としてでも必要としてくれたから、もうそれで十分なの。
「っ・・・」
潤みそうな眼を隠そうと、そっと正面へ視線を戻した。
大丈夫…、これからも秘書として生きていけるなら――
軽快なエンジン音を響かせ、ハンドルを巧みに操っている彼。
だけれどフェラーリは、朝と同じように来た道を直進してしまう。
「あの…、社長――
会社はアチラでは・・・」
午前中の半ばだし、仕事も随分と嵩んでいると思い出したのだ。
「今日はもう出社しない。
用事があるし、このまま直帰する…」
「あ、かしこまりました…」
ポーカーフェイスの社長の反応に、また恥を掻いただけ。
要らぬ心配だったというのに、懲りないなんて・・・