続きは、社長室で。
ガレージに到着したフェラーリは、ズラリと並ぶ外車群へと帰還した。
いつも通りに、競走馬のような走りを見せてくれたけれど。
役目を終えれば、まるで兵隊の如く主を待つモノとなる。
私もこの子たちみたいに、持ちつ持たれつのキョリを保ちたい。
どんなに贅沢な望みであろうとも、貴方の傍に一生いたいから――
バタンッ――
燃える太陽のようなカラーのドアを、ゆっくりと閉めた。
燦々と降り注ぐ陽射しは、新たなる現実を作り出せた気がして。
眩しさに眼を細めてしまったけれど、鼓動のリズムが私を囃し立てた。
これからは私らしく生きて良いと、暗示しているようで・・・
「それでは社長…、本当にありがとうございました。
これから私は、会社に戻りますので・・・」
そう一礼すると、こちらを見下げるブラウンの瞳に一笑した。
これ以上を求めるのは、我が儘過ぎると解っているから――