続きは、社長室で。


ガチャッ――

開かれたドアの先には、久方ぶりの光景が出迎えてくれて。




バラ、トルコ桔梗、カサブランカ・・・


お花好きな奥様らしい、花に囲まれた優雅な暮らしを感じさせた。





バタンッ――

拓海が玄関の扉を閉めると、もう後戻りなど出来なくて。



浅く深呼吸をして、どうにか自身を保とうとしたトキ。




「拓海…、遅いじゃない――

蘭ちゃん、待っていたのよ!」



「あ、お、奥様…、申し訳ございません――」


奥様の登場にしどろもどろの私は、何故だか謝罪をしてしまう。



「フフッ、どうして謝るのよ?

ほら2人とも、早く上がりなさい」



「あぁ――」

そう返事をしたあと、スタスタと室内へと向かった拓海。



「…お邪魔します――」


パンプスを脱いで揃えると、拓海の後ろをついて行った。




< 256 / 266 >

この作品をシェア

pagetop