続きは、社長室で。
拓海の行動の意味は、何処にあるの・・・?
「本当に、良かったわね…」
そう言って、頷きながら眼を潤ませているような奥様。
そのお姿に、私の胸までもがギュッと締めつけられていると。
「蘭さん、一言良いかな?」
「は、はいっ!?」
旦那様に声を掛けられ、上擦った返事をした私。
その威厳に、どうしても身体が硬直してしまう・・・
すると私の考えを読み取ったように、クスッと一笑されたあと。
「頑張る事も結構だが…、辛い時は頼りなさい――
君は1人で生きているんじゃないからね?」
「っ・・・はい・・・」
諭すような口調ながら、どこか優しさを含んだアドバイスに聞こえた。
「フッ…、私からはそれだけだ。
2人とも、下がって良いよ――」
微笑をしつつ、ジッとこちらを捉えている旦那様。
その表情が拓海と重なって、改めて親子なのだと思わされた。
「それでは、失礼します」
「失礼致します…」
拓海に続いて、私も平身低頭で一礼をして退出した。