続きは、社長室で。
込み上げるすべてが、貴方を求めるように・・・
ギュッ――
すると引き寄せられるように、拓海の胸に収められた。
「お袋は女優をしていて、親父と出会っただろ?
一般人が、東条の妻になる辛さを知っているからこそ。
それ以上に大変な立場の蘭に、試練を与えたんだろうな…。
俺も東条を背負う身として、感情抑制を試されたんだと思う。
本当はずっと、オマエを抱き締めたくて仕方が無かった…」
「っく・・・ひっ・・」
優しい声色が鼓膜を揺らして、嬉し涙をさらに誘っていく。
「蘭…、ようやく言える。
俺と結婚しよう・・・」
「…っ、うっ・・・んっ――」
ギュッ――
ホワイトムスクの香りに浸るように、必死で背中へと手を回した。
「もう泣かせない・・・ゴメンな」
「うっ、わぁあああん…――」
堰を切ったように溢れるのは、パンドラの箱へと押し込めた感情で。
頑丈だったハズの鍵を容易く破壊して、一気に押し寄せてくる。