続きは、社長室で。


玄関まで、広大な敷地を闊歩していく。



今の季節は、チューリップが咲き誇っていて。


カラフルな色合いが、私の心を幾分明るくしてくれる。






「蘭ちゃん、ごめんね!」


奥さまが手を振りつつ、玄関先で出迎えてくれた。



「おはようございます。」

平身低頭で、丁寧に挨拶をする私。



「そんなに、畏まらないでいいのよ?

それじゃあ、今日もよろしくね?」

いつもそう言って、微笑んでくれる奥様。



「はい、かしこまりました。」


笑顔を返しても、殻だけは破れないの。




奥様は素敵な方で、とても裏があると思えない。


昔から、私の憧れの女性だから・・・





だけれど、以前のように接することは出来ない。






・・・・全ては、社長のせい。





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