続きは、社長室で。




どこまでもズルイよ、私・・・




「そんなに謝らなくていいよ。

ここまで嫌がられると、幾ら俺でも誘えないって!」


「すみません・・・」


「まーた謝ってるよ!」

「あ・・・」



「“クセ”なんだね、謝ることが!」


笑い飛ばされたせいで、気づけなかった。




言葉の節々にある、彼への警告サイレンに――





「…本当は、食事中に話すつもりだったが・・・」

溜め息をつくと、そう発した後藤社長。






このトキ…、ささやかな私の願いも。




今までの過去も、すべてを打ち消すように。




この一瞬で、露と消えてしまうなんて。






鈍感な私は、寸前まで気づけなかった・・・








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