ミリオンハート
少しの沈黙の後、グラッセが口を開く。
『まさか、バラモンに乗り込む気じゃないだろうな』
何時も聞いていたグラッセの独特な低い声。
だけど、この時の声は怒りと心配を両天秤に掛けたようなトーンだった。
『・・・ま、まさか。敵の陣地に入るなんて・・・。』
『・・・そうか。』
『うん・・・』
私には気の迷いなど、ほぼ無かった。
皆を幸せにするためなら
自分の身を犠牲にしたって良かったと思うくらいなのだから。