花火
兆候
「夏花ぁ〜」
教室のドアが完全に開くか開かないかの内に、アケミが大声を出した。
「あ、アケミおはよ」
「おはよじゃないよぉ。
なんで花火、先帰っちゃったのぉ?」
「あぁごめん、ごめん。
はぐれちゃったから、ふたりのジャマしないように先帰っちゃったんだ」
アケミがこっちを向きながら無造作に自分の机に鞄を置く。
バランスをくずして机から落ちそうな鞄。
私はアケミを見るふりをしながら鞄を見つめていた。