花火
兆候

「夏花ぁ〜」


教室のドアが完全に開くか開かないかの内に、アケミが大声を出した。


「あ、アケミおはよ」


「おはよじゃないよぉ。

なんで花火、先帰っちゃったのぉ?」



「あぁごめん、ごめん。

はぐれちゃったから、ふたりのジャマしないように先帰っちゃったんだ」


アケミがこっちを向きながら無造作に自分の机に鞄を置く。


バランスをくずして机から落ちそうな鞄。


私はアケミを見るふりをしながら鞄を見つめていた。

< 15 / 75 >

この作品をシェア

pagetop