花火
「ううん!ぜんっぜん気にしなくていいから!
もう卓くん好きだったのは昔のことだし、全然大丈夫だったよ。
今はほんとに気まずくなんかないし」
「…そう」
なぜかアケミは空虚な笑顔を浮かべてぎこちなく前を向いた。
この時のアケミの態度は確かにおかしかったのに、私は何も気づけなかった。
この時、私が気づいていたら未来は何か変わったの?
私は今もあなたの隣で笑っていたの?
こんな寒い部屋にいる未来はなかったの?
アケミの声が耳にこびりついている。
あの、アケミの電話の声が…。