花火
「すごく、幸せだったんです。
すごく好きになった人に、好きになってもらえて」
「本当に幸せなことだよ。
好きになれる人を見つけるだけでも大変なのに、その人に好きなってもらえるなんて、奇跡のようなものだよ」
刑事は歳に合わないような事を言ってにっこりと笑った。
「でも、もう隼人は私を恨んでますよね」
刑事は何も答えなかった。
ただ、悲しい視線をコーヒーカップに注いでいた。
「もう二度、抱きしめてくれないんですよね…」
私はひとつ咳払いをして上擦る声を整えた。
「隼人の仕事が休みの日はいつも隼人の家に行きました。
2人でいろんな所にも行って…。
でもほんとのこと言うと、私はそのでかける計画を隼人の部屋でたててるのが1番好きだったんですけどね。
ほんとに、幸せだったなぁ…。」