花火
刑事の後ろには小さな、本当に小さな窓が遠慮がちに佇んでいた。
どんなに小柄な“参考人”でもすり抜けられないような小ささ。
この窓はこの冷たい部屋に唯一の光をほんの一筋さしこんでくれる。
同時に、ここから逃れることなんかできやしないんだと思い知らされる。
この窓は希望も、絶望も教えてくれる。
そう、あなたみたいに…。
アケミのことを振り切るように話を戻した。
「私は…キスよりも、ギュッとしてくれるほうが好きでした。
隼人は冷え症だから…手の先はいつもひんやりしてたんですけど、隼人に包まれているときは、すっごく暖かかったんです」