花火
過去


カキーン…カキーン…


もう大分涼しくなってエアコンもいらなくなった時季。


隼人の部屋の窓から入ってくる空気に乗って、乾いた爽やかな音が聴こえてくる。


「ねぇ、何の音?」


ん?と、パソコンを見たままの隼人が答える。


「ほら、この音」


あぁ、と言いながら隼人はもうぬるくなっているコーヒーに手を伸ばす。


「すぐ近くにバッティングセンターがあるんだよ。

なんか何ヵ月か前から改修工事やってて、そろそろリニューアルオープンだっていう話だったんだけど、今日だったんだな」


「そうなんだ。もう何回も来てたのに全然知らなかった」


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