キミヲモイ。
「あっ、ごめんなさい!」
僕ん家に着くまでにある、広場の横を通っていたら足元にボールが転がってきた。
広場のほうから、グローブを持った中学生くらいの男の子に声を掛けられる。
その子の後ろには小学生くらいの女の子がいた。
兄妹で野球でもしてたのかな。
一人っ子の僕はやけに羨ましい。
僕は横にある花壇に里芋の入ってる皿を置くと、転がってきた白いボールを手に取った。
「いいよいいよ。構えてー」
僕がそう言うと、男の子はタジタジしながらボールを受け止める姿勢になった。
僕もボールを右手で軽く握る。
肩を回すと、硬くなくちょうどいい具合に空気の入ったボールは、スッと男の子のグローブの中へ飛んでいった。
「な……ナイス!」
男の子は少しビックリした様子で、ニッコリと笑った。