キミヲモイ。

「あっ、ごめんなさい!」


僕ん家に着くまでにある、広場の横を通っていたら足元にボールが転がってきた。

広場のほうから、グローブを持った中学生くらいの男の子に声を掛けられる。

その子の後ろには小学生くらいの女の子がいた。


兄妹で野球でもしてたのかな。

一人っ子の僕はやけに羨ましい。

僕は横にある花壇に里芋の入ってる皿を置くと、転がってきた白いボールを手に取った。


「いいよいいよ。構えてー」


僕がそう言うと、男の子はタジタジしながらボールを受け止める姿勢になった。

僕もボールを右手で軽く握る。


肩を回すと、硬くなくちょうどいい具合に空気の入ったボールは、スッと男の子のグローブの中へ飛んでいった。


「な……ナイス!」


男の子は少しビックリした様子で、ニッコリと笑った。









< 13 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop