キミヲモイ。
「ようあんなボール投げるな。ホンマに女か?」
皿を再び持つと、さっきまで遠くを歩いてた修二が隣に来た。
「まぁ小さい頃からやってたしね。修二は? そういや野球とかしてんの見たことないけど」
修二の“女か”発言は無視して、キャッチボールをする兄妹を見つめた。
「俺は……ずっと昔にやめたわ。飽きたんやな。今は見るの専門。いや……見たりもせんか。スポーツ自体興味無いねん」
修二は関係ない、という感じで金ぴらをつまみ食いした。
冷めていたのか、苦い顔をして。
――なんか意外だ。
修二は見るからに、何かしらスポーツをしてそう。
初めて家に遊びに行ったとき、有名選手のポスターを見てウキウキしたのを覚えてる。
「はよ戻んで。鍵してないやろ」
ラップをしっかり元通りに戻すと、修二はまた前を歩き始めた。