キミヲモイ。
「俺家戻るで、鍵してポスト入れとくわ」
普段の言い方に戻った修二の、階段を離れていく足音がする。
おすそ分け渡すために待ってたのかな。
「それと、水とカロリーメイト冷蔵庫入れとくで。部屋戻ってから暇やろ。これ持って行き」
2、3段階段を上がってきた修二は、あのビニール袋を持っていた。
僕はその心遣いに、素直になってみて、ビニール袋を取りに行く。
ありがとうの一言も声に出さず、ぶっきらぼうに受け取った。
「やっぱ取りに来るんや。正直やなぁ」
ふんわりと優しく笑う修二。
明かりもついてない、薄ぐらい空間で、それは温かかった。
「――Azu、聞くの?」
僕はビニール袋を見つめたまま、修二に尋ねる。
ビニール袋の中からは、CDジャケットに映る、Azuが綺麗に笑っていた。