キミヲモイ。
「たまたま売ってたんよ。この前テレビでガン見してたやろ? あんな食い入ってたらわかるわ」
また眉を下げて笑う。
――優しいのか意地悪なのか、わかんないよ。
「ふ、ふーん」
「ふーん、て! ありがとうもないんかい! まぁええわ、大切にしーよ」
そう言って修二は、タンタンと軽く下りていく。
「あ、待って!」
僕が修二を止めると、不思議そうに振り返った。
「お金! 全部で何円した?」
こんなにいっぱい貰っちゃって、別に頼んだわけでもないからって、払わないのはセコ過ぎだ。
しかもいつもおすそ分け貰ってるし。
「えーよそんなん。テレビ見させてもらっとるし。お礼やよ」
修二はそう言いながら、玄関のほうへ歩いていく。
1階に下りると、修二はビーサンを履いてる途中だった。
「下りてきたんなら鍵しといてや」
ポンっと、修二は僕ん家の鍵を投げ渡す。
「いつもおおきにー」
思いきり関西弁を強調して、帰っていった。