キミヲモイ。

髪が長かったのは何年前だろう。

必死で伸ばしていたのは何年前だろう。


10年……いや、15年も前かもしれない。

僕だって、最初からこの格好、この性格だったわけじゃない。


小さいころはピンクい服を着て、近所の女の子とおままごとして。

生れつき茶色っぽい髪は、長くてリボンで二つに結っていた。

可愛いものも、皆に可愛いと言われるのも大好きだったんだ。



「あの日聴いたー、いつかのメロディー

僕は絶対、忘れ、ないよ」


音がついているか、微妙なメロディー。

遠い昔、公園で聴いた大好きな優しい歌。



あの子と会ってからだ。

あの子を傷つけてからだ。


僕が僕と言うようになったのは。

男の子とばかり遊ぶようになったのは。

野球をするようになったのは。



アズちゃん――。










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