キミヲモイ。
――15年前――
「ユウー起きてる?」
「ママ! 見て見て、かわいいでしょ?」
買ってもらったばっかりの服を、まだ若いころの母さんに見せる。
母さんはニッコリと笑って僕の手を引いた。
「今日はね、近くに男の子が遊びに来てるのよ。一緒に遊んでらっしゃい」
「ヤだよ! ユウはフミちゃんとおままごとするも〜ん」
「でもせっかく来てくれてるから、ご挨拶しに行こう?」
当時の僕はすごくわがままだったみたい。
外で遊ぶのが嫌で、家で友達とおままごとしたり、人形を着せ替えたりしてた。
駄々をこねる僕を、母さんはなんとか説得して、外まで連れていった。
そこには既に、遊びに来た子の母さんが立っていて、目を細めて笑っていた。
「はじめまして、裕梨ちゃん。ほら、挨拶しなさい」
その人は母さんみたいに笑って、隣にいる男の子に話しかけた。