キミヲモイ。

――15年前――



「ユウー起きてる?」

「ママ! 見て見て、かわいいでしょ?」


買ってもらったばっかりの服を、まだ若いころの母さんに見せる。

母さんはニッコリと笑って僕の手を引いた。


「今日はね、近くに男の子が遊びに来てるのよ。一緒に遊んでらっしゃい」

「ヤだよ! ユウはフミちゃんとおままごとするも〜ん」

「でもせっかく来てくれてるから、ご挨拶しに行こう?」


当時の僕はすごくわがままだったみたい。

外で遊ぶのが嫌で、家で友達とおままごとしたり、人形を着せ替えたりしてた。

駄々をこねる僕を、母さんはなんとか説得して、外まで連れていった。


そこには既に、遊びに来た子の母さんが立っていて、目を細めて笑っていた。


「はじめまして、裕梨ちゃん。ほら、挨拶しなさい」


その人は母さんみたいに笑って、隣にいる男の子に話しかけた。








< 21 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop