キミヲモイ。
「アズちゃんまたヤキュウするの? ユウ、わかんないよ」
「じゃあ今日はうたおっか!」
「おうた? なにうたうの?」
首を傾げて聞いてみる。
花壇のレンガに乗っているアズちゃんを真似て、僕もその後ろに乗った。
「うーんと、あ! ユウ、よーくきいててね」
足を思いきり前に踏み出しながらこっちに振り向き、アズちゃんは凄くニッコリと笑って、大きく口を開いた。
ぎこちない、でも心地良いメロディーに、あどけない言葉達を乗せている。
♪〜♪
あの日聴いた
いつかのメロディー
僕は絶対忘れないよ
♪〜♪
僕が覚えている部分はここだけだ。
なんとなく、メロディーを思い出せはするけど、まだ喋りが幼いときだし初めて聞いたから、何か聞き取るだけで精一杯だった。