キミヲモイ。
「修二……」

「まだこんなとこで歌ってるんすか? 時間の無駄やって〜」


ビニール袋を掲げていた人物は、小学校からの腐れ縁、東修二<アズマ シュウジ>だった。


修二はいつものようにニヤニヤ笑いながら、後ろにあるイスに腰掛けた。


茶髪の髪はクシャクシャで、灰色のパーカにビーサン、人通りの多い駅前に出てくる格好じゃない。


馬鹿にしたように憎らしいことを言いながら、ビニール袋をガサガサ漁り始めた。


「いたいけな裕梨に差し入れやよ。はい、カロリーメイト!」


黄色い箱を、無理矢理左手に乗せられる。

まったく、修二は昔っから変わらない。

修二は大阪からこの東京に越して来て、家が近所なのもあって、いつもチョッカイをかけてくるんだ。


それに同い年なのに、よく敬語になられるのもムカついてきて。


僕がギター抱えて立っているだけでも目立つのに、完全部屋着の修二はもっと悪目立ちしている。









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