キミヲモイ。

「修二は中の手伝っててよ。これくらい、僕にだってできるし」


紙切れに視線を向ければ、慌てて書いたような、明らかに修二の文字がぐにゃぐにゃに並べられている。


のり
さけ 松江 雪見
お茶の葉
洗ざい


「裕梨……悪いな」

「別に? 今日は特に予定もないし」


そう言えば修二は勢いよく立ち上がる。

子供のような満面の笑みが、僕を見つめていた。


「ありがとう。急がんでええで? 坂危ないから」

「大丈夫だよ。商店街に行けばあるよね?」

「おん。よく行くし、聞けばすぐやと思うわ。ネタ……魚は、まだ店にあるみたいやし」


こんなときにまで人を心配してる修二に呆れる。

でもホッとした表情は、やっぱりいつもの修二に戻っていた。


「ほな、ここから入ってきてな。裏口からやないと怒られんで」

「はいはい」





< 40 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop