キミヲモイ。
「修二は中の手伝っててよ。これくらい、僕にだってできるし」
紙切れに視線を向ければ、慌てて書いたような、明らかに修二の文字がぐにゃぐにゃに並べられている。
のり
さけ 松江 雪見
お茶の葉
洗ざい
「裕梨……悪いな」
「別に? 今日は特に予定もないし」
そう言えば修二は勢いよく立ち上がる。
子供のような満面の笑みが、僕を見つめていた。
「ありがとう。急がんでええで? 坂危ないから」
「大丈夫だよ。商店街に行けばあるよね?」
「おん。よく行くし、聞けばすぐやと思うわ。ネタ……魚は、まだ店にあるみたいやし」
こんなときにまで人を心配してる修二に呆れる。
でもホッとした表情は、やっぱりいつもの修二に戻っていた。
「ほな、ここから入ってきてな。裏口からやないと怒られんで」
「はいはい」