キミヲモイ。

修二はギターを握りしめる僕を少し見て、ビニール袋を押し付けた。


「じゃあな」


修二はさっきと違うフニャフニャの笑顔を見せて、手を振りながら帰って行った。



……なんなんだよアイツは。


大きなお世話。

有難迷惑。

いや有り難くもない、ただの迷惑だ。


歌う気が無くなった僕は、ギターと楽譜をを黒いケースに閉まった。


それを肩にかけ、ゆっくり歩きながら大通りに出た。

スーツを着たサラリーマンや学生、手を繋いでる恋人達。


ガヤガヤとうるさい人込みの中で、流されようとしない、ひとつの音楽を見つけた。


それが流れ出している先へ、僕は視線を向ける。


高い丸型のビルに、大きな液晶。

そこには見慣れた、金髪に綺麗な顔立ちで耳にイヤホンをつけ心地良さそうに歌っている男性。



――Azu<アズ>――









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