キミヲモイ。
tenuto
「ただいまー」
小さな商店街の片隅にある古びた家。
両親とも商店街の店で働いているから、返事が無いのは当たり前。
「おかえりなさんせー」
家族じゃない人から言われるのは、ものすごく慣れているけど。
靴を脱いで上がった先には、居間から顔をヒョコっと出してる修二だった。
親同士が仲良いのと、修二とは親戚ってこともあって、お互いの家は行き来自由。
修二の家のテレビが壊れてしまったため、テレビ好きの修二はわざわざ僕ん家に来て見るのだった。
居間に入ると、修二は小さなちゃぶ台に肘を置き、ニコニコとお笑い番組を見ていた。
ここに住んでいる本人が傍にいるのに、堂々と真ん中のテレビ前を陣取っている。
「邪魔」
「んなこと言うなや。えーとこやねん」
ついに寝そべり始めて、どこから出したかせんべいを頬張る。
お前ん家じゃないんだっての。